コラム

養育費の計算

養育費の計算方法(2019年12月改定の養育費新算定表対応)

養育費の計算は、実務上「算定表」と言われるもので計算を行います。
「算定表」自体に批判があるところですし、別の計算方法の提案などもありますが、家庭裁判所では、この「算定表」に基づいて養育費を算出するのが通常です。

「算定表」自体は、養育費の金額が記載されているだけですが、その根拠や計算式については、判例タイムズ1111号285号「簡易迅速な養育費等の算定を目指してー養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案ー」に記載されているところですし、2019年12月23日には改定した養育費算定表の考え方が示されたので、以下に根拠及び計算式をご紹介いたします。

裁判所|平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
http://www.courts.go.jp/about/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

なお、以下では、妻が子どもと同居し、夫が妻に対して養育費を支払う場合を想定しています。

基本的な考え方

計算の目的

養育費の計算は、「生活保持義務」(自分の生活を保持するのと同程度の生活を被扶養者にも保持させる義務)として適正妥当な金額を求めるものです。
つまり、原則として親と子供は同一水準の生活になるよう養育費を定めるということになります。

計算の出発点

養育費の計算は、夫婦双方の実際の収入金額を基礎として行います。

計算の基本的枠組み

以下の手順で養育費を計算します。

  1. 子が妻と同居している場合に、子のために使われるはずの生活費を計算します。
  2. 子の生活費を夫婦の収入の割合で按分し、夫が支払うべき養育費の額を定めます。

計算手法

夫婦それぞれの基礎収入の認定

まず、夫婦それぞれの基礎収入を認定します。

夫より妻の方が収入が高い場合は、その基礎収入を同額と扱う。

「基礎収入」とは、税込収入から公租公課、「職業費」及び「特別経費」を控除した金額をいいます。

「職業費」とは給与所得者についてだけ認められる、就労するために必要な出費(被服費、交通費、交際費)をいいます。

「特別経費」とは家計費の中でも弾力性、伸縮性に乏しく、自己の意思で変更することが容易ではないものをいい、具体的には住居費や医療費などがこれに該当します。

給与所得者の基礎収入

給与所得者の場合、総収入から公租公課、職業費、特別経費を控除することになります。

旧算定表では以下のとおり考えられていました。

公租公課は、理論値によると、総収入に占める割合は12%から31%である。
職業費は、総務省統計局の「家計調査年報」をもとにすると、総収入に占める割合は20%から19%である。
特別経費は、総務省統計局の「家計調査年報」をもとにすると、総収入に占める割合は26%から16%である。
そこで、給与所得者の基礎収入は、総収入の42%から34%の範囲内となる。

新算定表では統計資料を最新のものとしたため、上記を修正し、以下のとおり考えられています。

公租公課が総収入に占める割合 8~35%
職業費が総収入に占める割合 13~18%
特別経費が総収入に占める割合 14~20%
給与所得者の基礎収入割合 38%~54%

自営業者の基礎収入

自営業者の場合、総収入は課税される所得金額となり、この金額から、所得税及び住民税、特別経費を控除することになります。

旧算定表では以下のとおり考えられていました。

所得税及び住民税は、総務省統計局の「家計調査年報」をもとにすると、総収入に占める割合は15%から30%である。
特別経費は、総務省統計局の「家計調査年報」をもとにすると、総収入に占める割合は33%から23%である。
そこで、自営業者の基礎収入は、総収入の52%から47%の範囲内となる。

新算定表では統計資料を最新のものとしたため、上記を修正し、基礎収入割合は48%~61%と考えられています。

夫婦及び子それぞれの最低生活費の認定

最低生活費とは、生活保護法3条が保障する最低限度の生活を維持するための費用です。

子の生活費を計算するにあたっては、生活保護法8条に基づき厚生労働省によって告示されている生活保護基準のうち「生活扶助基準」を利用して積算される最低生活費に教育費を加算し、成人との対比で標準指数を定めます。

「生活扶助基準」とは、衣食等の日常的な消費生活のために必要な経常的な費用の1か月あたりの最低必要水準を定めたもので、一類費と二類費とから構成されています。
一類費は、飲食物費、被服費等、個人単位で消費する費用に相当するもので、年齢別に金額が定められています。
二類費は、光熱費、家具什器購入費等、世帯全体として消費する費用に相当するもので、世帯構成人員別に金額が定められています。

教育費については、0歳から14歳までについては公立中学校の子がいる世帯の年間平均収入に対する公立中学校の学校教育費相当額を、15歳から19歳までについては公立高等学校の子がいる世帯の年間平均収入に対する公立高等学校の学校教育費相当額を考慮します。

以上の結果、旧算定表では以下のとおり考えられていました。
  
子の標準的な生活費の指数は、親を100とした場合、年齢0歳から14歳までの子については55、15歳から19歳までの子については、90とする。

新算定表では統計資料を最新のものにしたなどの理由で上記を修正し、以下のとおり考えられています。

0~14歳の生活費指数62
15歳以上の生活費指数85

子に充てられるべき生活費の認定

以上から得られた基礎収入と生活費指数をもとに、子に充てられるべき生活費を認定します。

具体的には、子の生活費は、夫の基礎収入×子の指数/100(夫の指数)+子の指数となります。

夫が分担すべき養育費の算出

子の生活費を夫婦双方の基礎収入の割合で按分し、夫が分担すべき養育費を算出します。

具体的には、夫の養育費分担額は、子の生活費×夫の基礎収入/夫の基礎収入+妻の基礎収入となります。

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