子どもの引渡しを求める法的手段

子どもの引渡し

夫婦間で別居している場合や離婚後において、子どもをどちらが監護・養育するかでもめることがあります。
このような場合に、子どもが手元にいない一方の親から、子どもが手元にいる他方の親に対して、子どもの引渡しを求めて裁判所による法的手続を求めることがあります。
法的手続は複数あり整理して理解する必要があります。

妨害排除請求権に基づく引渡し

子どもが親権者でも監護権者でもない親に連れ去られた場合、親権者である親は、他方の親に対して、妨害排除請求権に基づいて子の引渡しを請求することが考えられます。
この妨害排除請求権とは、親権を行使することにつき、これを妨害することの排除を求める権利と考えられています。
したがって、親権者であればこの妨害排除請求権を行使することができます。

この妨害排除請求権に基づく子の引渡請求は、民事訴訟の手続で行われます。

妨害排除請求権が認められるためには、①主張する親の親権又は監護権の存在、②他方親による子の抑留を主張立証する必要があります。
一方、相手方が妨害排除請求を拒むためには、抗弁としては、③子が自由意思により居住していること、を主張立証する必要があります。

子の妨害排除請求権に基づく引渡しは、民事保全の申立てをすることができます。
具体的には、係争物に関する仮処分か、仮の地位を定める仮処分を求める方法によって行います。

人身保護法による子の引渡し

子が法律上正当な手続によらないで、身体の自由を拘束されている場合には、一方の親は他方の親に対して、人身保護法に基づき救済を請求することが考えられます(人身保護法2条1項)。
人身保護手続の特徴としては、裁判所が速やかに裁判することが義務付けられており、迅速性をあげることができます。
また、救済妨害行為に対しては、刑事罰が科されている点も特徴的です。

子の監護に関する処分の一態様としての子の引渡し

民法766条の子の監護に関する処分の一態様として、子の引渡しを求めることが考えられます。
これは、家事事件手続法別表第二第3項の審判類型になります。

家事審判手続であるため、職権探知主義となっており、裁判所の裁量が広く認められることになり、調査官による調査などがなされることもあります。
子の引渡しが認められるか否かは、引渡しを認めることが「子の福祉」に合致するかどうかです。
ここでも、子の意思や子の現在の養育状況などが判断されます。

子の引渡しの家事審判に関しても、審判前の保全処分を利用することができます。
保全処分が認められるためには、「強制執行を保全し又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要があること」が必要となります。

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