任意後見契約は、①任意後見契約が解除された場合、②任意後見人が解任された場合、③本人または任意後見人が死亡した場合などに終了します。
任意後見監督人が選任される前においては、本人又は任意後見受任者は、いつでも、公証人の認証を受けた書面によって、任意後見契約を解除することができます(任意後見契約法9条1項)。
解除するのに、理由は必要とされていません。
ただし、口頭等によって解除することはできず、公証人の認証を受けた書面によることが必要です。
ここで、「公証人の認証」とは、当事者が、公証人の面前において、証書に署名若しくは捺印をしたとき、又は証書の署名若しくは捺印を自認した時に、公証人が自書であることを認める旨記載することをいいます(公証人法58条1項)。
具体的には、本人及び任意後見受任者が合意解除の書面について公証人の認証を受けるか、本人又は任意後見受任者どちらかが解除通知について公証人の認証を受けたうえ、相手方に送付する方法によることになります。
任意後見監督人が選任された後においては、本人又は任意後見人は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、任意後見契約を解除することができます(任意後見契約法9条2項)。
ここで、正当な事由とは、任意後見人が、病気等により任意後見人としての職務を行うことができない場合などが考えられます。
任意後見人に不正な行為、著しい不行跡その他その任務に適しない事由があるときは、任意後見監督人、本人、その親族又は検察官は、家庭裁判所に申し立てることにより、任意後見人を解任することができます(任意後見法8条)。
「不正な行為」とは、違法行為や社会的に非難される行為をいいます。
「著しい不行跡」とは、本人の財産を使い込む危険があるなど、行状が本人の財産管理に危険を生じさせるような場合をいいます。
「その他任務に適しない事由」とは、「不正行為」や「著しい不行跡」には該当しなくとも、任務懈怠等がある場合をいいます。
これら解任事由については、基本的に、任意後見監督人が選任される前の事情については、考慮しないものと考えられています。
任意後見契約も、委任契約の一種であるため、民法の委任の終了事由が生じた場合、任意後見契約は終了します(民法653条)。
具体的には、以下の事由がある場合に、任意後見契約が終了することになります。