成年後見と不動産売却許可

成年後見と不動産売却

成年後見人には、包括的な代理権が付与されているため、成年被後見人の不動産を処分することも可能です。処分には売買のほか、賃貸、担保権設定なども含まれます。ただし、居住用不動産と非居住用不動産とに分けて考える必要があります。

非居住用不動産の売却

非居住用不動産については、後見人の判断でこれを売却することができます(ただし、後見監督人が選任されているときは、後見監督人の同意を得る必要があります(民法864条))。
ただし、必要かつ相当なものである必要があることはもちろんです。
したがって、被後見人の生活費や医療費を捻出するための売却であれば認められますが、親族等を援助する目的で不動産を売却することは基本的には認められません。
また、処分の価格等も一般の取引慣行に照らして相当である必要があります。

居住用不動産の売却

居住用不動産の売却については、家庭裁判所の許可が必要となります(民法859条の3)。
ここで、居住用不動産とは、生活の本拠として現に居住の用に供している、または居住の用に供する予定がある建物及び敷地をいい、仮に被後見人が現在は施設入所中だったとしても、それまで居住していた建物はこれに含まれます。
家庭裁判所の許可は、後見人が家庭裁判所に申立てを行って得ることになります。家庭裁判所の許可を得ない処分は無効になりますので、処分の前に家庭裁判所の許可を得る必要がありますし、売却先には事前にその旨を伝えておくとよいでしょう。

リバースモーゲージ利用

リバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、老後において、自宅に住み続けたまま、自宅を担保に借入れを行い、返済は死亡時に自宅を換価して一括して行うという住宅ローンの一種です。
資金を当初に一括して受け取る一括借入型、少しづつ定額で受け取る年金型、借入枠を設定し借入枠の範囲で随時資金の引出しが可能な借入枠型があります。
老人ホームへの入居資金、介護リフォーム資金等に充てる場合には一括借入型を利用し、生活資金の場合は、年金型や借入枠型を利用することになります。

成年被後見人による利用

成年被後見人の場合にも、自宅不動産等を売却せずに所有しながら、年金等現金収入が少ないなどのケースが考えられます。
このようなケースにおいてリバースモーゲージを利用すれば、不動産売却をせずに生活資金を確保することができて便利です。

一方、リスクとしては、①土地の再評価が行われるため、不動産価値が下落した場合には、当初想定より融資枠が縮小される可能性があること、②変動金利を採用しているため、金利上昇のリスクがあること、③生存中には返済が行われないため、長生きをすればするほど支払利息が増えること、などが挙げられます。

家庭裁判所の許可

これらのリスクを勘案の上、成年被後見人がリバースモーゲージを利用する場合には、自宅不動産に担保を設定することになるため、家庭裁判所の許可が必要になります(民法859条の3)。
そこで、後見人は家庭裁判所に対し、居住用不動産売却許可の申立てを行い、許可を得た上で、リーバースモーゲージを設定することになります。

家賃返済型リバースモーゲージ

近年では、自宅の売却を前提としない家賃返済型リバースモーゲージも商品化されています。
この家賃返済型リバースモーゲージでは、住まなくなった家を一般社団法人移住・住みかえ支援機構が借り上げて家賃保証を行い、この支援機構からの賃料債権を譲渡担保として、金融機関から融資を受けることができます。
この方式のリバースモーゲージの場合には、居住用不動産の売却には該当しないため、後見人の判断で行うことが可能です。

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