内縁とは、婚姻の社会的実体はあるものの、婚姻届の出されていない男女の関係をいいます。
現在では、内縁に関しても、なるべく法律婚と同様の効果を与えようと考えられています(準婚)。
法律婚の夫婦は、お互いに貞操義務を負います。
したがって、一方が不貞行為を行った場合、他方に対しては、この貞操義務違反として、慰謝料請求をすることができます。
また、不貞行為を行った第三者に対しても、他方の配偶者の夫または妻としての権利を侵害したとして、不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます(最判昭和54年3月30日)。
内縁関係においても、お互いに貞操義務を負うと考えられます。
したがって、法律婚と同様、一方が不貞行為を行った場合、他方に対しては、この貞操義務違反として、慰謝料請求をすることができます。
また、不貞行為を行った第三者に対しても、不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。
東京地判昭和33年12月25日も、双方の親の了承の下に、約3年半の間同居し肉体関係を継続し、しかも共同して事業を営んだという内縁関係があった場合に、こ内縁関係を知りながら情交を結んだことは、内縁の夫としての精神的利益を違法に侵害したとして、不法行為責任を認めています。
重婚的内縁においても、法律婚が破綻状態にあり、一方が第三者と不貞行為を行った場合、他方は内縁の配偶者及び第三者に対して、慰謝料請求をすることができると考えられます。
東京地判昭和62年3月25日も、第三者が内縁の妻と情交関係を持ち、内縁を不当に解消させたという事案において、第三者と内縁の妻に慰謝料の支払義務を認めています。
重婚的内縁関係であることについても、内縁の夫が内縁の妻に対し、法律上の妻とは離婚することになつている旨説明し、内縁の妻もその言を信じて関係を継続していたものであること、その後も両者は、互いに法律婚が離婚した場合のことを考えて行動していること、内縁の夫は、その妻と別居して後も原告らと一緒に住むべき住宅を探し、これを購入していること、などの事情のもと、内縁関係が法律上有効なものと認めています。
そして、結論として、200万円の慰謝料請求を認めています。