コラム

財産分与のやり直し

財産分与はやり直すことができない

 協議や審判、判決によって決められた財産分与は、後にやり直したいと考えても、原則として、これをやり直すことはできません。
 たとえば、公正証書により財産分与契約を作成したのち、離婚訴訟において付随的に財産分与を請求したとしても、財産分与の申立ては却下されます。

新たに財産分与対象財産が発見された場合

 財産分与の協議や審判、判決後に新たに財産分与対象財産が発見された場合には、別途、財産分与の申立てを行うことができます。
 ただし、当初の財産分与の協議や審判、判決において、新たに財産分与対象財産が発見された場合の帰属等に関して、取り決めがなされていた場合には、その取り決めどおりに帰属することとなり、財産分与の申立てを行うことはできません。
 注意が必要なのは、財産分与の申立ては、離婚後2年という除斥期間があるため、同期間が経過後には、仮に新たに対象財産を発見したのが、2年経過後という場合であっても、財産分与の申立てをすることはできません。
 なお、離婚から2年経過後に対象財産が発見された場合でも、2年経過するまで発見されなかったのが、一方当事者が対象財産を隠していたなどという理由による場合には、不法行為による損害賠償を請求できる場合もありえます。

当初の財産分与が不当な内容の場合

 当初の財産分与が不当な内容の場合には、財産分与に基づき請求を行っても、権利濫用として、その請求が制限される場合もあります。
 たとえば、東京高判平成2年6月27日は、協議離婚をする際に、夫が妻に対し、①居住しているマンションや預貯金全額を分与する、①夫が退職するまでの23年間にわたり、住宅ローン支払のための6万円、給料から6万円を控除した残額の半額、毎年ボーナスから20万円を控除した残額を支払う、といった公正証書による財産分与契約をしていた場合において、夫が一部分しか履行しなかつたので、(元)妻がその履行を求めたという事案でした。この事案において、(元)妻は現在は自活していける状況にあると認められること、夫と(元)妻の収入と必要生活費とが著しく均衡を失していること、元(妻)が離婚にあたり高額な給付を受けていること、裁判までに夫は(元)妻に対してすでに合計1000万円あまりを支払っていること、などからして、財産分与としては過大ということで、(元)妻の請求中、将来分の給与分と賞与分の支払を求める部分は権利濫用に当り許されないと判断しました。

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