監護権と親権の違い

監護権とは

身上監護権とは、子の監護及び教育をする権利をいいます。
そして、身上監護権の具体的な内容として、以下の権利があります。

  1. 居所指定権
  2. 懲戒権
  3. 職業許可権
  4. 妨害排除請求権
  5. 身分上の行為の代理権

身上監護権がある者が子と同居をして子を監護することができます。

居所指定権(民法821条)

子がどこに住むかを指定できる権利です。

懲戒権(民法822条)

必要な範囲内で子を懲戒することができる権利です。
もちろん、必要な範囲を超えた場合には親権・監護権の濫用として児童虐待になります。

職業許可権(民法833条)

子どもが事業をなしたり働く際に許可を与える権利です。
許可がない場合には、子どもは事業をなしたり働いたりすることはできません。
なお、いったん許可を与えても、後に適当でない場合には、許可を取り消すこともできます(民法823条2項)。

妨害排除請求権

第三者が親権・監護権の行使を妨害する時にはこれを排除することができます。
したがって、他人が子どもを連れ去った場合などは、監護権者が妨害排除請求として子の引渡しを求めることができます。

身分上の行為の代理権

子が当事者となる、認知の訴え、嫡出否認の訴えの被告に親権を行う母がなること、15歳未満の子の氏の変更、15歳未満の子の縁組・離縁・縁組の取消、相続の承認・放棄などの代理権があります。

親権との関係

親権には、子の財産管理をする権利である財産管理権と身上監護権があり、身上監護権は親権の一部です。
したがって、通常は親権者が監護権を有することになります。

離婚における監護権と親権

離婚においても、通常は夫婦のどちらかが親権者となり、その親権者が財産管理権と身上監護権を有します。
しかしながら、離婚に際して、親権者とは別に監護者を決めることも可能です。

親権者・監護権者を決める手続

協議

夫婦が協議離婚をするに際して、親権者と監護権者を別に取り決めることも可能です。
この場合、離婚届には監護権者の記載欄はありませんので、別に離婚協議書を作成して、親権者と監護権者について記載しておく必要があります。

調停

夫婦が調停離婚をするに際して、親権者と監護権者を別に定めることも可能です。

審判・訴訟

離婚訴訟において、裁判所が判決において親権者と監護権者を別に定めることは法律上は可能です。
また、親権者指定の審判または監護者指定の審判によって裁判所が親権者と監護権者を別に定めることも法律上は可能です。
しかしながら、実務上、裁判において、親権者と監護権者を別に定める例は多くありません。

東京高決平成5年9月6日
両親が離婚したとしても、未成年者の健全な人格形成のために父母の協力が十分可能であれば、監護権と親権とを父母に分属させることもそれはそれとして適切な解決方法である場合もあるとしても、先に認定したとおりの抗告人と相手方の性格、両者の関係等に鑑みると、本件において双方の適切な協力が期待され得る状況にあるとは思われず、前記のとおり監護者として適当な抗告人から親権のみを切り離して相手方に帰属させるのが適当であるとは認め難い。

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