戸籍法の改正(本籍地以外で取得可能に)

戸籍法の改正

現状の戸籍制度は、各市区町村のコンピュータ・システムがネットワーク化されておらず、その結果以下のように手続が煩雑になっています。① 社会保障手続において、身分関係の確認のために戸籍謄抄本の添付が必要。② 本籍地以外の各市区町村で戸籍の届出をする際に、身分関係の確認のために戸籍謄抄本の添付が必要。➂ 戸籍謄抄本の請求は本籍地市区町村に限られる。

そこで、令和元年5月24日戸籍法が改正され、既存の戸籍副本データ管理システムを活用・発展させて新システムを構築し、データの提供を可能とすることになりました。

詳細は法務省のHPに記載されていますが、概要を以下においてご説明します。

法務省:戸籍法の一部を改正する法律について

以下では、戸籍制度、改正によりできるようになること、改正の要点をご説明します。

「戸籍」とは

戸籍法は、「国民各人の身分関係を公証する公正証書」である戸籍に関する制度(戸籍制度)について定める法律です。

昭和22年に民法が全面改正され、封建的な家制度を前提とした制度から、個人の尊厳と両性の本質的平等に基づく制度に改められました(戸主とその家族ごとに作成されていたが、夫婦とその子の単位で作成されることとなりました。)。

平成6年の法改正により、コンピュータを使用して戸籍事務を取り扱うこととなりました。
平成19年の法改正により、戸籍の公開制度の在り方が見直され、他人の戸籍謄本等の 請求が制限されるようになりました。
平成25年に東日本大震災を機に戸籍副本データ管理システムを導入し、法務省において戸籍の副本を管理することとなりました。 

現在、1896市区町村のうち1893市区町村が戸籍事務をコンピュータシステムにより取り扱っています。戸籍事務をコンピュータシステムで取り扱っていない3市村のうち、2市は平成31年中にコンピュータシステムによる取扱いを開始する予定です。

戸籍法が改正されてできるようになること

各種の社会保障手続での戸籍謄抄本の省略

各種の社会保障手続の際に記載していただいているマイナンバーを利用することにより、窓口機関において、親子関係や婚姻関係等を確認することが可能となるため、従来これらの手続で提出が必要だった戸籍謄抄本の添付が省略できます。

(具体的な手続の例)
・ 児童扶養手当の支給事務における続柄・死亡の事実・婚姻歴の確認
・ 国民年金の第3号被保険者(被保険者に扶養されている主婦など)の資格取得事務における婚姻歴の確認
・ 奨学金の返還免除事務における死亡の事実の確認
・ 健康保険の被扶養者の認定事務における続柄の確認

戸籍の届出における戸籍謄抄本の提出不要化

婚姻届や養子縁組届など様々な戸籍の届出の際に、戸籍謄抄本の提出が不要となります。

戸籍の届書(婚姻届など)を電子化し、戸籍事務が効率化されることにより、速やかに新しい戸籍謄抄本が発行できるようになります。

本籍地以外の市区町村での戸籍謄抄本の発行


籍地が遠隔にある人でも、自宅近くの市区町村や勤務先の最寄りの市区 町村の役場の窓口において、戸籍謄抄本を取得することができるようになります(新戸籍法第120条の2)。
自分の戸籍のほか、配偶者、父母、祖父母、子の戸籍の謄抄本も取得が可能です。

オンライン上で行政手続をする際に利用可能な戸籍の証明書として、新たに、「戸籍電子証明書」を発行可能とします。

新たな制度の運用は、5年後の予定です。

改正の要点

行政手続における戸籍謄抄本の添付省略(マイナンバー制度への参加)

国が戸籍の副本に記録されている情報を利用して、親子関係その他の身分関係の存否を識別する情報等を戸籍関係情報として作成し、新システムに蓄積する。
従来の戸籍謄抄本による戸籍の情報の証明手段に加え、マイナンバー制度のために作られた情報提供ネットワークシステムを通じて戸籍関係情報を確認する手段も提供可能にする。
 戸籍謄抄本による証明手段は、引き続き維持する。

戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略

本籍地以外の市区町村において、新システムを利用して本籍地以外の市区町村のデータを参照できるようにし、戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付を不要とする。戸籍事務内部での戸籍情報の利用であることから,マイナンバーを用いない。

本籍地以外での戸籍謄抄本の発行

自らや父母等の戸籍について、本籍地の市区町村以外の市区町村の窓口でも、戸籍謄抄本の請求を可能とする(マイナンバーカードや運転免許証等により適切に本人確認)。⇒ さらに、自らや父母等の戸籍について、電子的な戸籍記録事項の証明情報(戸籍電子証明書)の発行を可能とする。

法務大臣が保存する戸籍関係情報等の保護措置について

本籍地市区町村以外の行政機関等でも戸籍情報にアクセス可能となることから、個人 情報を適切に保護する必要性が高まる。

⇒法制上の保護措置
①システムに関し、安全性及び信頼性を確保する等の法制上の保護措置を設ける。
②システムの設計等の秘密保持義務及び当該義務違反に対する罰則を設ける。
③戸籍事務に従事する者が戸籍に関する事項を不正提供した場合の罰則を設ける。
※マイナンバー法においても所要の保護措置を設ける。

⇒システム上の保護措置
①行政機関相互間の閉じたネットワークによる情報の送受信、
②不正参照を防止するシステムの構築、証跡ログの保存等の所要の保護措置を設ける。

システム運用開始時期 公布からシステムの運用開始まで5年を想定

その他の戸籍法の規定の見直し

戸籍の記載の真実性を担保するため、市区町村長及び管轄法務局長等は、届出の審査に当たって必要な場合、届出の当事者本人その他の関係者に対し、質問し、又は必 要な書類を求めることができるものとする。

誤った戸籍の記載を市区町村長が訂正するための手続について、家庭裁判所又は管轄法務局長等の許可を得て行う場合、市区町村長の職権により行う場合の別を明確化する。

任意後見契約(本人の判断能力が不十分となった場合に財産管理等を行うことをあらかじめ委任しておく契約)の受任者が任意後見の開始前であっても死亡の届出をすることができるものとする。

これらの事項の施行期日 公布から1年以内

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