コラム

遺産分割における株式の評価

上場株式の評価

上場株式の評価は、東京証券取引所等で公表されている株価に基づいて評価を行います。
いつの株価を基準にするかについては、原則として、遺産分割時となりますが、被相続人の死亡から遺産分割まで期間がたっていない場合には、相続税評価額を使うことも多いといえます。
相続税における上場株式の評価は、原則として死亡日の終値によって評価されます。
ただし、死亡日の終値が、死亡日の属する月以前3か月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうち、最も低い価額を超える場合には、その最も低い価額によって評価します。

非上場株式の評価

困難な株式評価

非上場株式は、遺産分割協議において、各相続人が割合ごとに取得するのであれば、特段評価を行うことが不要になることもあります。
しかしながら、一般には、非上場株式は、円滑な事業承継のために、一部の相続人に集中させたいと考える当事者が多いため、評価が必要になることも少なくありません。
そして、非上場株式の評価を行う場合、その評価は、一般的には難しいと言われています。

合意が可能な場合

非上場株式の評価を行う際に、まず参考となるのは、相続税申告書記載の評価額です。
遺産分割協議において、相続税申告書記載の評価額をベースに各当事者が合意できるのであれば、その額によることになります。
相続税上は、相続人が同族株主になる場合には、大会社の場合には、類似業種比準方式か純資産方式、中会社の場合には類似業種比準方式と純資産方式の併用方式、小会社の場合には純資産方式によるとされています。
一方、同族会社にならない場合には、配当還元方式によるとされています。

合意ができない場合

各当事者において、株式の評価について合意ができない場合には、裁判所が選任する鑑定士により鑑定を行います。
鑑定を行う場合には、高額の費用が必要となりますし、鑑定を行うための、会社の資料の信ぴょう性という問題もあります。
鑑定を行う場合に用いられる算定方法として、

  1. 純資産方式
  2. 配当還元方式
  3. 類似業種比準方式
  4. 収益還元方式

などがあり、実際には、これらを混合して評価することも多いといえます。
これら算定方法により、株価評価額が全く異なることもあります。
例えば、含み益を多額に有している一方、配当を行わない会社の場合、純資産方式の場合には、株価は高額になる可能性がありますが、配当還元方式の場合には、株価は低額になる可能性があります。

関連記事

遺留分に関する期限の許与

遺留分に関する期限の許与 遺留分権利者が遺留分侵害額請求をしても、金銭請求を受けた受遺者・受贈者が直ちには金銭を準備することができないことがあります。 このような場合、裁判上、金銭債務の全部又は一部...

相続放棄(民法915条)とは

相続放棄(民法915条)とは 相続放棄とは、相続人ではなくなったものとみなされる制度をいいます。 遺産が債務超過である場合や、相続人が遺産の取得を希望しない場合などに用いられます。 似た制度として相続分...

遺産分割における不動産の評価

不動産の評価 遺産分割において、不動産の評価額が問題となることは多いです。 不動産の持分を、法定相続分など割合で分けるのであれば、評価額は問題となりませんが、不動産を相続人の一部が取得し、別の相続人...

寄与分とは

寄与分とは 寄与分とは、共同相続人中に、被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした者があるときに、相続財産からその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなして相続分を算定し、その算定された相続分...

養子も兄弟としての相続分を有するか

養子の兄弟 自分の両親が、自分には知らないうちに誰かと養子縁組をすることがありえます。 たとえば、自分にはもともと自分と兄がいたところ、兄家族と同居していたことから、兄の妻や子を養子とした、などとい...

療養看護型の寄与分

療養看護型の寄与分 相続人が、病気療養中の被相続人の療養看護に従事したという場合の寄与分です。 被相続人が自らの費用で看護人を雇わなければならなかったはずのところを、相続人が療養看護したために、被相...

ご相談をご希望の方はお電話またはメールにてご連絡ください

お電話でのお問い合わせ

046-204-7414

受付時間

平日9:00〜21:00

土日9:00〜19:00

メールでのお問い合わせ

お問い合わせ

通常1営業日以内にご返答させていただきます。