コラム

遺留分に関する期限の許与

遺留分に関する期限の許与

遺留分権利者が遺留分侵害額請求をしても、金銭請求を受けた受遺者・受贈者が直ちには金銭を準備することができないことがあります。
このような場合、裁判上、金銭債務の全部又は一部の支払いにつき相当の期限が許与されることがあります(民法1047条5項)。

たとえば、遺産が不動産だけであるなどの場合、受遺者・受贈者は金銭の支払いが難しいことがあります。
このような場合に、裁判上、受遺者・受贈者が請求することにより、支払いまでの期限が許与されることになります。

効果

裁判所が期限を許与した場合、期限の許与をした金銭債務の全部又は一部について、その弁済期が変更されることになります。
この期限が許与されたときは、金銭給付の請求を受けた受遺者・受贈者は、その期限内は金銭債務につき履行遅滞に陥りません。

期限の許与の請求の行使方法

遺留分権利者が金銭支払請求訴訟を提起している場合

期限の許与の請求につき、抗弁として位置付けるか独立の訴えとして位置付けるかについて見解の相違があります。

受遺者・受贈者が遺留分権利者を相手方として期限の許与を求めて訴訟を提起する場合

期限の許与を求める訴えを提起するもので、形成の訴えとなります。

期限が許与された場合の判決主文

たとえば、遺留分侵害額が1000万円であり、その期限を令和3年4月1日まで許与する場合は、以下のような主文になります。

被告は、原告に対し、令和3年4月1日が到来したときは500万円およびこれに対する令和3年4月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え
原告のその余の請求を棄却する。

また、遺留分侵害額1000万円のうち、400万円については期限を許与するものとし、金銭請求の日が令和3年4月1日で、裁判所が定めた期限が令和4年4月1日の場合には、以下のような主文になります。

被告は、原告に対し、600万円およびこれに対する令和3年4月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
被告は、原告に対し、令和4年4月1日が到来したときは400万円及びこれに対する令和3年4月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
原告のその余の請求を棄却する。

現物を提供する旨の合意

遺留分侵害額請求権の当事者が、金銭の支払に代えて現物を提供する旨の合意をすることは、代物弁済の合意として認められます。

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