自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、自分で手書きで書く遺言書のことです。
作成される遺言書として、多いものとして、自筆証書遺言以外に公正証書遺言がありますが、自筆証書遺言はより簡便につくれるという特徴があります。

ただ、自筆証書遺言は法律で作成方式が定められています。
この作成方式を守らないと、遺言は無効になります。

自筆証書遺言は自分で作成するものであるため、作成方式には注意して作成する必要があります。

自筆証書遺言のメリット

自筆証書遺言は、誰にも知られずに簡単に遺言書を作成できるというメリットがあります。
作成には費用もかかりません。

自筆証書遺言のデメリット

自筆証書遺言は、方式不備で無効となる可能性があります。
また、偽造・変造されるリスクや、死後発見されないリスクなどもあります。
遺言者の死亡後、検認手続も必要です。

作成方式

自筆証書遺言は下記の方式で作成する必要があります。

  1. 遺言書全文の自書
  2. 自書能力
  3. 日付
  4. 氏名
  5. 押印

全文の自書

遺言書は、遺言書の全文を自分で書かなければなりません。
ワープロによるものなどでは、自書とはいえず無効になります。

他人に書かせてもいけません。
他人が添え手をした場合は、
(1) 遺言者が証書作成時に自書能力を有し、
(2) 他人の添え手が、単に始筆若しくは改行にあたり若しくは字の間配りや行間を整えるため遺言者の手を用紙の正しい位置に導くにとどまるか、又は遺言者の手の動きが遺言者の望みにまかされており、遺言者は添え手をした他人から単に筆記を容易にするための支えを借りただけであり、
(3) 添え手が右のような態様のものにとどまること、すなわち添え手をした他人の意思が介入した形跡のないことが、筆跡のうえで判定できる場合
には、「自書」の要件を充たすと考えられています(最判昭和62年10月8日)

カーボン複写の方法でも自書にあたると考えられています(最判平成5年10月19日)。

自書能力

自書能力とは、遺言者が文字を知り、かつ、これを筆記する能力をいいます(最判昭和62年10月8日)。
自筆証書遺言には、この自書能力が必要とされています。

したがって、全く目の見えない者であっても、文字を知り、かつ、自筆で書くことができる場合には、仮に筆記について他人の補助を要するときでも、自書能力を有すると考えられます。
逆に、目の見える者であっても、文字を知らない場合には、自書能力を有しないと考えられます。

日付

日付は、年月日を客観的に特定できるように記載する必要があります。
したがって、通常は〇年〇月〇日といった形で記載します。

ただし、自分の誕生日、などといった記載も、日付を特定できるので有効です。

一方、吉日といった記載は日付が特定できないので無効です。

氏名

氏名を記載する必要があります。
戸籍上の氏名でなくても、通称名などでもかまわないと考えられています。

押印

自筆証書遺言には、押印をする必要があります。
印鑑は、実印でなくともよく、認め印などでも構いません。
拇印など指印でもかまいません。

特殊な例として、花押は押印ではないとされています(最判平成28年6月3日)。

押印は署名の横になされるのが通常ですが、遺言書上にされていれば足ります。

契印なども不要であり、複数枚ある時でも、1枚に署名押印すれば足ります。

加除訂正

加除訂正は、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に押印する必要があります(民法968条3項)。
捨て印などは認められませんし、訂正印だけでも足りません。

自書でない目録の添付(作成方式の緩和)

上記が原則ですが、相続法改正により、財産の目録については、自書しないものの添付が認められるようになりました(民法968条2項)。
パソコンで目録を作成しても構いませんし、第三者が代筆した者でもかまいません。
不動産登記や預金通帳の写しの添付も可能と考えられています。

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