相続分の指定とは

相続分の指定とは

遺言による相続分の指定とは、遺産を取得する割合である相続分について、法定相続分とは異なった割合で定めることをいいます(民法903条)。
遺産の2分の1や3分の1などという形で示されるのが典型例です。

相続分の指定の効果

相続分の指定により、法定相続分の割合を修正する効果が生じ、これにより遺産分割の割合の基準が定まります。
注意が必要なのは、相続分の指定がなされているときは、遺産分割が必要ということです。
これは、特定財産承継遺言や遺贈と異なりますので、注意が必要です。

対抗要件の具備

相続による権利の承継は、法定相続分を超える部分については、登記の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができないとされています(民法899条の2)。
したがって、相続分の指定においても、登記を備えなければ、法定相続分以上の持分については第三者に対抗することはできません。
第三者に対抗できないというのは、たとえば、相続人の1人が受益相続人に無断で相続登記をした後、第三者に持分を譲渡してしまった場合、受益相続人は第三者に対して所有権を主張できないということです。

金銭債権の承継

債権承継についても、不動産と同様、法定相続分を超える部分については、対抗要件を備えなければ、対抗することができないとされています(民法899条の2)。
債権承継の対抗要件は、本来であれば譲渡人(共同相続人全員)の債務者への通知または、債務者の承諾です(民法467条1項)。
しかしながら、受益相続人が当該債権に係る遺言の内容を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなされます(民法899条の2第2項)。
したがって、相続分の指定においても、受益相続人は、債務者に対して、遺言の内容を明らかにしてその承継の通知をする必要があります。

金銭債務の承継

相続分の指定がされた場合であっても、被相続人の債権者は、各共同相続人に対して、法定相続分に応じて権利を行使することができます(民法902条の2)。
ただし、債権者が共同相続人の一人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、法定相続分に応じた権利行使はできません。
たとえば、被相続人の住宅と住宅ローン債務を、金融機関の同意を得て、特定の相続人が承継することがありえますが、このような場合、金融機関が特定の相続人に対して住宅ローン債務の承継を認めると、金融機関は他の相続人に対してローンの返済を求めることはできなくなります。

相続分の指定と特別受益

相続分の指定がある場合でも、相続人が特別受益を受けていたときは、特別受益を持ち戻した後、指定相続分を乗じて各人の取得額を算定します。
なお、持ち戻し免除の意思表示が認められる場合には、持ち戻しは不要となります。

相続分の指定と遺留分侵害請求

相続分の指定により遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求をすることができます(民法1047条1項)。

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