相続人とは、被相続人の相続財産を包括的に承継することができる一般的資格をもつ人のことをいいます。
相続人か否かは、法律によって定まっており、被相続人の意思でこれを変更することはできません。
被相続人が相続人とほぼ同様の地位を与えたい場合には、包括遺贈を行うことになります。
血族相続人には順位があります。
先順位にランクする血族相続人が存在しないときに、はじめて後順位の血族相続人が相続人になります。
相続放棄をした者がいる場合には、相続人ではない者として取り扱われますので、当初は次順位で相続人ではなかったものの、他の相続人が相続放棄をした結果、相続人になるということもあります。
第1順位の相続人は、被相続人の子もしくはその代襲相続人である直系卑属です。
子は実子であるか養子であるかを問いません。
養子の場合には、実親からの相続分と、養親からの相続分両者を相続することができます。
第2順位の相続人は、被相続人の直系尊属です。
子及び直系卑属がいないときにはじめて相続資格を有します。
親等の異なる直系尊属の間では親等の近い者が相続資格を取得し、それ以外の直系尊属は相続資格を取得しません。
第3順位の相続人は、被相続人の兄弟姉妹です。
父母双方を同じくする兄弟姉妹でも、一方しか同じくしない兄弟姉妹でも、両者とも相続人になります。
ただし、相続分は異なります。
配偶者相続人は常に相続人になります。
配偶者は法律上の配偶者でなければならず、内縁配偶者には相続分はありません。
内縁配偶者は特別縁故者として財産分与を受けることがあるにとどまります。
相続発生時に胎児であった者は、その後生きて生まれれば、相続時に生まれたものとみなされて相続人になります(民法886条1項)。
相続人となる者が相続開始以前に死亡したり、相続欠格や廃除によって相続権を失った場合、その相続人の直系卑属が、その相続人に代わって、その者の受けるべき相続分を相続します。
代襲原因となるのは、相続開始前の死亡、相続欠格、廃除であり、相続放棄は含まれません。
代襲される者は、被相続人の子及び兄弟姉妹に限られます。
代襲相続人となるのは、被代襲者の直系卑属、すなわち、被相続人の子の子、または兄弟姉妹の子になります。
被相続人の子の子については再代襲相続になりますが、兄弟姉妹の子については再代襲相続にはなりません。
代襲相続人が複数いる場合には、代襲相続人相互の相続分は平等になります。