コラム

代襲相続と特別受益

代襲相続と特別受益

特別受益を受けた者として持ち戻しをする必要があるのは、相続人に限られますが、代襲相続が生じるケースがありえます。

被代襲者の得た特別受益

被代襲者に対してなされた生前贈与は、代襲相続人の特別受益になります。

したがって、たとえば、被相続人Xに子A、子Bがおり、子Bには孫Cがいるという場合に、Xが子Bに生前贈与していたものの、子Bが先に死亡し、その後Xが死亡したというケースでは、孫CはBが受けた特別受益の持戻し義務を引き継ぐことになります。

代襲相続人の得た特別受益

代襲相続人が相続人になる前になされた生前贈与は、特別受益にはなりません。
一方、代襲相続人が相続人になった後になされた生前贈与は、特別受益になります。

したがって、たとえば、被相続人Xに子A、子Bがおり、子Bには孫Cがいるという場合に、Xが孫Cに生前贈与していたというケースでは、
生前贈与する時期が、子Bの死亡前であれば特別受益にはならず、子Bの死亡後であれば特別受益になります。

受贈者が贈与後に相続人の資格を得た場合

たとえば、被相続人が婚姻前に妻となるべきものに生前贈与をしたが、その後妻になった場合、特別受益として持ち戻すべきでしょうか。
この点については、代襲相続人の場合と異なり、妻となった時期に関係なく、すべての贈与について特別受益として持ち戻すべきと考えられています。

2次相続と特別受益

相続が開始して遺産分割未了の間にその相続人が死亡し、さらに相続が開始した場合において、第2次被相続人から特別受益を受けた者があるとき、第2次被相続人からの特別受益について持ち戻すことが必要でしょうか。

この点については、まず第1次被相続人の未分割遺産について分割し、次いでこれにより第2次被相続人に分属した財産についてさらに再転相続人に分割することになります(最決平成17年10月11日)。

最決平成17年10月11日
事案の概要
 (1) 抗告人と相手方らは、いずれもAとBの間の子である。Aは平成7年12月7日に、Bは平成10年4月10日に、それぞれ死亡した。Aの法定相続人は、B,抗告人及び相手方らであり、Bの法定相続人は、抗告人及び相手方らである。
 (2) 被相続人Aに係る遺産分割の対象となる遺産は、原決定別表1の番号1~5記載の不動産並びに同別表の番号6及び7記載の現金である。抗告人及び相手方Y2には、Aとの関係で民法903条1項の特別受益がある。
 (3) 被相続人Bは、原決定別表2の番号12及び13記載の不動産を所有していたが、遺言公正証書により、これを相手方Xに相続させる旨の遺言をした。同相手方は、Bの死亡により、同遺言に基づき、上記不動産を単独で取得した。Bは、上記不動産以外に遺産分割の対象となる固有の財産を有していなかった。
 (4) 抗告人及び相手方Xは、相手方Y2はBから特別受益に当たる贈与を受けた旨の主張をしている。
決定
本件におけるA及びBの各相続の経緯は、Aが死亡してその相続が開始し、次いで、Aの遺産の分割が未了の間にAの相続人でもあるBが死亡してその相続が開始したというものである。そうすると、Bは、Aの相続の開始と同時に、Aの遺産について相続分に応じた共有持分権を取得しており、これはBの遺産を構成するものであるから、これをBの共同相続人である抗告人及び相手方らに分属させるには、遺産分割手続を経る必要があり、共同相続人の中にBから特別受益に当たる贈与を受けた者があるときは、その持戻しをして各共同相続人の具体的相続分を算定しなければならない。

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