相続人が、被相続人を扶養し、被相続人が出費を免れたため財産が維持された場合の寄与分です。
相続人が被相続人を現実に引き取って扶養する場合や、相続人が扶養料を負担する場合があります。
扶養型の寄与分が認められる要件は、以下のとおりです。
被相続人の扶養が必要であることが必要です。
身体的にも経済的にも不要の必要がない被相続人に対し、単に引き取って面倒を見たとしても寄与分は認められません。
なお、療養介護型の寄与分とは異なり、疾病の存在は必要ではありません。
扶養内容が、被相続人との身分関係に基づいて通常期待される範囲を超える貢献であることが必要です。
したがって、法律上の扶養義務がないのに扶養を行った場合と、扶養義務のある者がその義務の範囲を著しく超えて扶養した場合がありえますが、前者の場合の方が、扶養の程度は低くても足りると考えられます。
扶養が無報酬又はこれに近い状態でなされていることが必要です。
ただし、わずかな補償を受けていたとしても、本来の介護報酬等に比べて著しく少額であるような場合には、無償性の要件は満たします。
扶養が相当期間に及んでいることが必要です。
期間について明確な定めはありませんが、わずかな期間の生活費を援助しただけでは寄与分の対象にはなりません。
被相続人の生活を維持するために相続人が負担した金額に裁量割合を乗じて計算するのが一般的な方法です。
相続人が扶養料を送金していた場合には、その金額を基準に算出することになりますが、同居して家計が一緒になっていたような場合には、区別することができません。
このような場合には、生活保護基準や家計調査を参考に算出することになります。
また、実際に扶養のために負担した金額が全額認められることはなく、裁判所の裁量割合により調整されます。
寄与相続人が被相続人所有の建物に無償で居住して扶養をした場合
寄与相続人が被相続人所有の建物に無償で居住して扶養をした場合には、居住の利益が認められるため、家賃相当分について寄与分が減額される可能性があります。
寄与分審判の申立てと過去の扶養料の求償に関する扶養審判の申立て
相続人の一人が被相続人を扶養している場合、寄与分の主張によって請求するほかに、他の扶養義務者に対して扶養料の求償請求をすることも可能です。