遺留分を請求できるのは遺留分権利者だけです。
遺留分権利者となりうるのは、被相続人の配偶者、子、直系尊属です(民法1042条1項)。
一方、被相続人の兄弟姉妹は法定相続人ですが、遺留分権利者とはなりません。
子の代襲相続人も遺留分権利者となり、被代襲者である子と同じ遺留分を有します。
したがって、被相続人の死亡時に、相続人である子がすでに死亡しているものの孫がいるような場合には、孫が遺留分権利者となります。
実際に遺留分権利者となるのは、「相続人」の場合なので、以下のとおりです。
① 配偶者は常に遺留分権利者になる。
② 子と直系尊属がいる場合には、子のみが直系尊属になる。直系尊属が遺留分権利者になるのは、子及び子の代襲相続人がいない場合である。
遺留分がいくらになるかは以下をご覧ください。
遺留分の割合はいくらか
胎児は、生きて生まれれば、子としての遺留分を有します(民法886条)。
相続開始時に胎児であったか、すなわち、懐胎していたかについては、相続開始のときから300日以内に子が生まれた場合には、懐胎していたものと推定されます(参照民法772条2項)。
相続欠格・廃除により相続権を失った者には、遺留分はありません。
相続欠格とは、民法所定の欠格事由がある者について、法律上当然に相続権をはく奪する制度です(民法891条)。
廃除とは、相続人から被相続人に対して非行等がなされた場合に、被相続人の意思に基づいて相続人の相続資格をはく奪する制度です(民法892条、民法893条)。
ただし、相続欠格者や被排除者には代襲相続が生じるため、これらの者の代襲相続人は遺留分権利者になります。
相続人が相続放棄(民法939条)をした場合、相続権を失うため、遺留分も有しません。
相続放棄の場合、代襲相続は生じないため、代襲相続人は遺留分権利者とはなりません。そして、他の遺留分権利者や次順位相続人に影響が出てくる場合があります。
たとえば、以下のような影響があることがあります。
① 子2人の相続人がいた場合に、一方の子のみが相続放棄をした場合、もう一方の子の遺留分割合は2倍となる。
② 子1人と直系尊属がいた場合に、子が相続放棄をした場合、直系尊属が遺留分権利者となる。
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有するとされていますが(民法990条)、遺留分権利者にはなりません(民法1042条1項)。